宮崎県/濵砂 憲幸 様

《審査員からのコメント》

圧送ポンプ無しでもトイレのLOWタンクに雨水を送り込める?この難問を濱砂さんが見事に解いてくれました。貯水タンクの水圧利用とともに、トイレLOWタンク内のフロートに独自の工夫を施して、電気代0円の雨水トイレ活用術を完成。材料費を1万5000円以内に抑えた点もあっぱれですね。雨水活用100%への挑戦は、これからも続くに違いありません。

おてんとうさまからの贈り水
“水洗トイレ洗浄水の100%雨水活用”

私は宮崎県宮崎市の濵砂憲幸(60)でございます。昨年11月に自動車部品製造企業を定年退職いたしました。前職では総務部門の安全・環境の担当課長をしていたため、環境情報に関しては一般よりは知識を入手し易かったと思います。

勤めていた企業の創始者の『やりたいことをやれ』という名言がいつも胸にあり、定年を機に数多い“やりたいこと”の中のひとつである雨水有効活用に最初に取り組む事にしました。

世界的に『水』は人口の増加・気候変動・水紛争など、資源としての問題が起こっていて、2050年には世界的な水不足になると警鐘され、水ストレスが世界の課題となっています。これは他人事ではなく、自分のこととして考えるべきとの考えから、水の無駄遣いを減らしたいと思いました。

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雨どい2箇所(2階屋根・カーポート)から雨水を取り込み回収します。
※貯水タンク上端は高さ2mの位置
雨どい2箇所(2階屋根・カーポート)

雨水は2階屋根の雨樋とカーポートに雨樋を取り付けて回収し、約2mの高さの100タンクに貯留させて、更にトイレの洗浄用タンクに投入する給水システムを、材料費1万5千円以内で構築しました。雨水の余剰水(オーバーフロー)は予備タンクに貯留でき、簡易ポンプで吸い上げることが可能です。

水洗トイレの洗浄水を100%雨水で賄う事が目標で、水洗トイレに飲める水を流す事に抵抗があった為、水洗トイレの洗浄水は雨水と風呂の残り水を再生活用したいと考えました。

台座上に100ℓのポリタンク画像2
台座上に100ℓのポリタンクを置き、雨水回収口・オーバーフロー排水口・補給水口(注)・排水口を取り付けました。
(注)補給用口は簡易ポンプで風呂余り水や水道水が補給できます。
※100ℓタンクは少雨でも数時間で満タンになりました。(2人世帯で十分な量)
※豪雨の時はオーバフロー水が下水に流れるようにしています。
※メインタンクは200ℓにする事も可能です。

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オーバーフロー水は捨てずに、予備タンクに保管できます。
(大雨時)メインタンクが不足すれば、簡易ポンプで補給します。
オーバーフロー水は捨てずに、予備タンクに保管できます。

メインタンク排水をトイレの洗浄用タンク(水洗タンク)に接続画像4
メインタンク排水をトイレの洗浄用タンク(水洗タンク)に接続しました。〔従来の水道水とは別系統で接続⇒手洗い・トラブル対応用〕
※水道水のみ/雨水のみ/併用ができるハイブリッドとなります。
【ポイント】
■雨水メインタンクからの自重水圧は低水圧の為、水位維持のバルブは水槽用フロートを購入し、吐水口径を約2⇒5㎜程度にオーバーサイズして約3分で1回分の洗浄水(雨水100%)が溜ります。
■水道水は必要時以外はバルブ閉です。

トイレに行っても罪悪感がなくなり、おてんとうさまの恵みを活かすことができたという達成感が得られました。雨が降らないときは、やむを得ず水道水を使うしかないことが有るかもしれませんが、それもおてんとうさま次第です。また、インフラリスク(断水・停電)に対して有効であることも利点です。

世界では飲み水さえ満足に得られない国もある一方、日本では贅沢に水道水を垂れ流ししている現実を、少しでも緩和することができれば良いと思います。

私は足し算・引き算さえできれば、大概のことは成し得る(安全と法令確認は必要)という持論で構想・設計・製作実行をすべての分野(DIY)でチャレンジしています。

例えば、水洗トイレのLOWタンクの水位調整フロートは最低水圧が必要な為、今回水道用は別系統にして水道単独・雨水単独・併用を選択可能にしました。雨水は約2m高のタンク水圧で落とすため、水洗トイレのLOWタンク内に小型の水槽用フロートを取り付けてあります。水槽用のフロートは吐水口が約2㎜と小さい為、口径を5㎜程度にオーバーサイズし、タンク水圧でも約3分で水洗トイレのLOWタンクを満タンにすることが可能です。ネットで調査しましたが、同様の事例は見つからず、これは私が考えたこの給水システムの付加価値であると自己満足しました。

今回の取り組みはTOKAIさんのコンテストを知らずに今年2月17日に完成させました。TOKAIさんのHPを偶然に見させていただいたのが2月27日であり、あまりの偶然に驚きました。水を大切にする小さな取り組みではありますが、少しでも世界に貢献できれば幸いです。また、このような機会を与えて頂いたことに、大変感謝申し上げます。

ありがとうございました。