雨 について知る
恵みの雨と水循環
地球上のあらゆる生命を育む、水。
大地をうるおし、私たちの暮らしを支えている水の源は、空から降る雨です。
天と地を巡り、様々な恵みをもたらす雨の一生をたどってみましょう。
水の循環
雨は空から地上に降り、巡り巡って再び空へ。地球の水は、太古の昔から絶えることなく循環しています。
雨のもとになるのは、海や川、陸地の水。水は太陽のエネルギーによって蒸発し、気流に乗って空へのぼります。上昇にともなって上空で冷やされた水蒸気は、大気中のちりを核として凝結し、小さなしずくに変身。このしずくがたくさん集まってできるのが雲です。雲のなかで小さなしずくはぶつかり合い、次第に大きな水滴となり、それらが雨や雪として地上へ降りそそぎます。そして、川や地中を旅したのち、また海へと流れていくのです。
雨のゆくえ
山に降る雨は、美しい森林を育み、そこに生息するすべての動植物の命をつないでいます。一方で森林も、雨を受け止め澄んだ水を育む役割を担っています。雨の多くは大地にしみこんで、地中の奥深くへ浸透。そのなかで森の豊かな土と幾重もの地層によりゆっくりと濾過され、きれいな水へと磨かれていくのです。
また、雨の一部は川となり湖や海へ流れこんで、さまざまな生き物の住処となっています。そして同じく、雨からなる川の水によって支えられているのが、私たちの暮らしです。飲み水や洗濯などに使う生活用水、田畑の作物や家畜を育てる農業用水、工場で使われる工業用水。私たちが毎日使う水は、川を主な水源としています。
家庭で使われた生活排水は、汚水管を通って下水処理場へと送られます。そこで浄水機や薬品などを使ってきれいな水にしてから再び川に戻され、海へと流れていきます。
都市部では...
自然の環境では雨が地面にしみこんだり地表を流れたりしてゆっくりと川にたどりつくのに対して、開発が進み人工的に舗装された都市部では、大部分の雨は地面にしみこむことができずに下水道から速やかに川へ流されます。
ヒートアイランド現象による集中豪雨などで街が浸水してしまうのは、そのように大量の雨が地面にしみこむことなく一気に下水管へ流れこんであふれてしまうため。また、川が急激に増水することで洪水となり、大きな被害をもたらすこともあります。
この都市型水害への対策として、雨水浸透施設や雨水タンクの設置が進められています。
雨の成分
空から降る雨の水は、自然がつくりだす蒸留水であり本来はきれいなもの。ただし、純水に近い水であるため、汚れを吸収しやすい性質を持っています。
大気中には、微細なちりやほこり、排気ガスによる汚染物質(代表的なものが硫黄酸化物[SOx]と窒素酸化物[NOx])などが浮遊しています。雨が酸性になるのは、水滴となり雨粒として落ちてくる途中で、それら大気中の汚染物質を取り込んでしまうため。雨上がりの青空が澄んでいるのは、雨が大気の汚れを洗い流してくれるからなのです。
降り始めの雨(初期雨水※)は、このように大気中の汚染物質を含んでいますが、降り続くにつれて大気に含まれる物質が少なくなり、雨水の成分は徐々に蒸留水に近づいていきます。そのため、雨水利用の際は用途に合わせて初期雨水※の排除・濾過・沈殿などを行うのが一般的です。
平成17年に大阪府で行われた雨水タンク10か所の水質調査では、pHの平均値は6.6でほぼ中性(酸性雨は5.6以下)、きれいな川と比べても水質に大きな問題はないとの結果が出ています。
※初期雨水…降りはじめの不純物を含んだ雨
飲める雨水 ?!
きれいに澄んだ飲料水の原料は、なんと雨水。「『あまみず』は空からのめぐみ」を合言葉に、水資源としての雨水の重要性をPRするためにつくられたドリンクです。
開発を手がけたのは、雨水活用の取り組みを進める福井工業大環境情報学部環境食品応用化学科の笠井利浩教授らのグループ。「あまみず飲料化プロジェクト」の一環として企画され、飲用水であるウォーター、炭酸を加えたソーダ、さらに甘みを加えたサイダーの3種がつくられました。
製造にあたりまず行われたのが、雨水のきれいさを証明すること。大学構内でビニールシートを用いて適切に集められた雨水は、簡単な処理を施すことで市販できる水準まで品質が高められ、食品衛生法に基づく45項目の水質基準をすべてクリアしたとのこと。
“あまみず”うまれのドリンク、あなたは飲んでみたいですか?
(※雨水はそのままでは飲用に適しませんのでご注意を!)
- 私たちの水資源
- 「水の惑星」と呼ばれる地球。しかし私たちが利用できる水はその総量からみてほんのわずかであることをご存じでしょうか。
実は日本においても、水資源は豊富とはいえないのが現状です。